「AIに悩み相談」と聞いたとき、「人に相談するのと何が違うの?」と気になった方もいらっしゃると思います。

この記事では、悩みと相談がどういうものかを説明し、そのうえでAIに相談する理由を書いています。

個別の悩みにどう答えるかは書いていません。

AIの使い方の手順は、別の記事で扱っています。

AIへの悩み相談の進め方そのものは、『はじめてAIに悩み相談をする前に知っておきたいこと』にまとめています。

結論から

この記事の要点は5つです。

  1. 悩みとは、自分が決めなければ先に進まない困りごとが、片づかないまま残っている状態です。別のことをしていても、また同じことを考えてしまう。そういう状態のことです。
  2. 悩みが片づかない理由は4つ、悩みが片づく形は5つあります。困っている状況そのものがなくなることだけが、終わりではありません。
  3. 人に相談するとき、相手がいるために4つのことが起こります。伝えるために言葉を選ぶことになる。知らなかった選択肢が増える。誰かが知っている人になる。話したことが自分の中だけで終わらなくなる。
  4. AIに書いた場合に起こるのは、言葉を選ぶことと、知らなかった選択肢が増えることです。AIを使う理由の中心は、自分が持っていない選択肢や情報が出てくることにあります。
  5. 誰かが知っている人になることと、話したことが自分の中だけで終わらなくなること。この2つはAIに書いても起こりません。だからAIは、人に相談することの代わりにはなりません。

悩みとは何か

まず、当サイトが「悩み」という言葉をどういう意味で使っているかを書いておきます。

当サイトはこの記事の定義に沿って他の記事を書いています。

「悩み」とは、自分が決めなければ先に進まない困りごとが、片づかないまま残っている状態です。

別のことをしていても、また同じことを考えてしまう。

そういう状態のことです。

  • 困りごとであること
  • 自分が決めなければ先に進まないこと
  • 片づかないまま残っていること

この3つが揃ったときに悩みと呼びます。

「困りごと」と「悩み」は同じではない

歯が痛いのは困りごとです。

痛みそのものは、歯医者に行けば終わります。

ただし、歯医者に行くまでに決めることがあります。

どの歯医者に行くか。

いまその出費ができるか。

仕事を休めるか。

これらが決まらないあいだ、歯の痛みは片づきません。

別のことをしていても、また同じことを考えてしまいます。

決めることが残ったまま、また同じことを考えてしまう。

これが悩みです。

「なんとかしたい」がなくても、悩みになる

悩みというと、なんとかしたいと思っていることを指すように聞こえます。

ただ、変えられないと分かっていることでも、人は悩みます。

選ばなかった過去の道。

もう戻らない関係。

どちらも解決を求めているわけではありません。

それでも、また同じことを考えてしまいます。

なんとかしたいから悩むのではなく、片づいていないから、また同じことを考えてしまいます。

自分のせいで起きたことでなくても「悩み」になる

「自分が決めなければ先に進まない」と書きましたが、決める権限を持っていることとは違います。

親の介護の方針を決めるのが兄で、自分ではない場合もあります。

決めるのは兄でも、決まった結果のもとで暮らすのは自分です。

兄に意見を言うかどうか、言わずに引き受けるか、距離を取るか。

それを自分で決めなければいけません。

親が病気になること。

上司が理不尽であること。

友人が離婚すること。

どれも自分が起こしたことではありませんが、自分の悩みになります。

悩みが片づかない理由は4つある

悩みが片づいていないということは、まだ終わっていないことが残っているということです。

悩みの残り方は4つに分かれます。

片づかない理由状態
分からない何に困っているのかが、自分でも分かっていない
決められない選択肢は見えているが、決め手がない
できないすることは分かっているが、動けない・言えない
終われない事態は済んでいるが、また同じことを考えてしまう

自分がどれに当てはまるかを決める必要はありません。

ただ、4つあると知っていると、AIに何を頼むかが変わります。

たとえば「分からない」のときにいきなり選択肢を求めても、何を選ぶための選択肢なのかが決まっていないため、返ってきたものを使えません。

途中で移ることもあります。

「分からない」が片づいた結果、「決められない」に変わる。

これは進んでいない印ではなく、作業が1つ終わった印です。

悩みが片づく形は5つある

悩みの片づき方も1つではありません。

片づく形例
解決する異動して、その上司と働かなくなる
選ぶどちらでもよいと分かったうえで、片方に決める
受け入れる変えられないと分かって、そのままにする
保留するいまは決めない、と決める
何に困っていたかが分かる転職したいのではなく、上司と話す機会がないことが引っかかっていた、と分かる

解決するというのは、困っている状況そのものがなくなることです。

残る4つは、状況が変わらないまま片づきます。

最後の1つは、何かをしたわけではありません。

何が引っかかっていたのかが分かった、というだけです。

それでも、また同じことを考える状態は終わります。

原因を突き止めて対処する、という話ではありません。

困っていた対象が別のものだった、と分かるということです。

悩みが片づかない理由の4つと、片づく形の5つは、1対1で対応しません。

「決められない」が「解決する」で片づくことも、「保留する」で片づくこともあります。

相談するときに、相手がいる4つの意味

相談とは、悩みが片づくように、誰かと一緒に考えることです。

ここで「一緒に」の中身を分けておきます。

人に相談すると、相手がいるために次の4つのことが起こります。

そして4つは、悩みが片づかない理由の4つにそれぞれ対応しています。

相手がいると起こること対応する理由
聞く人がいる伝えるために言葉を選ぶことになり、頭の中にあるだけの状態が終わる分からない
相手が知っていることがある自分が知らなかった選択肢が増える決められない
相手が知っている人になる言った以上やってみるか、という気持ちが働くできない
相手が実際に受け取る話したことが自分の中だけで終わらなくなる終われない

言葉を選ぶことになる、というところまでが、当サイトが書ける範囲です。

話すと楽になるのはなぜか、という問いには踏み込みません。

AIに書いた場合も、伝えるために言葉を選ぶことになります。

自分が知らなかった選択肢も増えます。

ただし、誰かが知っている人になることはありません。

書いたことを受け取った人もいません。

AIからは、受け取ったように読める文章が返ってくることがあります。

ただし返ってきたのは文章であって、それを読んだ人はいません。

では、なぜAIなのか

人に相談すれば4つ起こるのに、AIに書いた場合は2つしか起こりません。

それでもAIを使う理由が2つあります。

そのあとで、理由には数えない違いも見ていきます。

【理由1】自分が持っていない選択肢や情報が出てくる

これは主に「決められない」に効きます。

選択肢は情報から生まれます。

相談する人は、自分が持っている情報の範囲でしか選択肢を作れません。

選択肢が3つしか思いつかないとき、足りないのは考える力ではなく情報の量です。

4つ目を知らないから、4つ目を選べません。

人に相談した場合の限界

4つ目を知るために人に相談しても、4つ目が出てこないことがあります。

理由は2つあります。

1つは、一人の人間が持てる経験には上限があることです。

相手の能力の問題ではありません。

もう1つは、人から出た選択肢にはその人の価値がくっついていることです。

断ると相手を否定した形になるため、捨てにくくなります。

AIから出た選択肢は誰のものでもないため、遠慮なく捨てられます。

自分が出したものが、形を変えて返ってくることもあります。

ばらばらに書いて渡した話が、まとまった形になって返ってくる。

この場合に返ってきているのは自分が出したものであり、AIが持ってきたものではありません。

AIに相談した場合の限界

AIが出してくるのは一般的な話であって、その人の事情ではありません。

情報が「多いこと」と「正しいこと」は別です。

返ってきた内容をどう確かめるかは、『AIの回答はどこを確かめればよいか』に書いています。

もう1つ、「決められない」には2つの種類があります。

種類情報で片づくか
選択肢を知らない片づく
選択肢は見えているが、どちらも捨てがたい片づかない

後者は情報が足りないのではなく、大事にしたいものどうしがぶつかっています。

ここに選択肢をいくら足しても、決められるようにはなりません。

【理由2】話し始める前に決めておくことがない

人に相談するには、話し始める前に決めておくことがいくつかあります。

  • 誰に話すか
  • どこまで話すか
  • いつ話すか

3つとも、相手が人間だから要るものです。

話す相手は何人もいて、それぞれ違う人です。

だから「誰に話すか」を選ぶことになります。

話したことは取り消せず、相手はそれを覚えていて、関係はそのあとも続きます。

だから「どこまで話すか」を決めることになります。

相手にも都合があります。

だから「いつ話すか」を考えることになります。

AIは相手が1つで、選ぶ必要がありません。

書いたことを相手が覚えていて、次に会ったときに触れられる、ということもありません。

都合もありません。

だから、順番を整えないまま書き始められます。

とくに効くのは「分からない」で止まっているとき

何に困っているかが分かっていないと、誰に話すかを決められません。

悩みの全体が見えていないと、どこまで話すかも決められません。

つまり人に相談することは、何に困っているかが分かっている人のための方法です。

まだ分かっていない段階では、始めるところで止まります。

AIが相手なら、何に困っているかが分からないままでも始められます。

何に困っているかが分かっている場合でも、「誰に話すか」「どこまで話すか」「いつ話すか」の3つを決めることは残ります。

AIにはそれもありません。

これは人に相談することの欠陥ではありません。

3つとも、相手が人間であることから出ています。

人に相談する場合との違いは、ほかにもある

人に相談する場合とAIとで違うのは、準備だけではありません。

  • 失敗しても失うものがない
  • 相手が疲れない
  • 時間を選ばない
  • 何度でも試せる

この4つはAIの利点というだけではなく、そのまま欠点にもなります。

人に打ち明けると、相手との関係が変わることがあります。

近くなることも、離れることもあります。

AIに書いてもどちらも起こりません。

失うものがない代わりに、相談したことで人との関係が近づくということもありません。

相手が疲れないのは、こちらの話に時間を使ってくれる相手がいないからです。

時間を選ばないぶん、終わりを自分で決めることになります。

人との相談は、会って話せばその場が終わります。

何度でも試せることは、試し続けたまま決めずにいられることでもあります。

AIに書いても起こらないこと

起こる2つを書いたので、起こらない2つを書きます。

ここがAIと人の相談を分けるところです。

1つは、言った以上やってみるか、という気持ちが働かないことです。

人に話すと、その人は知っている人になります。

次に会ったときに聞かれるかもしれない。

聞かれなくても、知られていると自分では思っています。

だから動きやすくなります。

AIに書いても、知っている人は増えません。

もう1つは、話したことが自分の中だけで終わってしまうことです。

人に話せば、相手が実際に受け取ります。

AIに書いても、読んだ人はいません。

文章は返ってきますが、それだけです。

この2つが要るときは、AIとやりとりしたあとで、同じことをもう一度、人に話したくなります。

とくに「終われない」は、選択肢を増やしても片づきません。

事態は済んでいて、決めることも残っていないためです。

だからAIは、人に相談することの代わりにはなりません。

人に話す前の段階で使えます。

何に困っているかが分かるところ、何を伝えるかを決めるところまではAIで進められます。

そのあと、人に話すかどうかは別の判断として残ります。

なお、AIからは、どうすればよいかという答えが返ってくることもあります。

ただし、その内容が正しいとはかぎりません。

実際にどうするかは、自分が決めることになります。

どの悩みならAIに向いて、どれが向かないかは、『AIに相談できる悩み・できない悩み』で扱っています。

専門の相談窓口へ向かったほうがよい場面もあります。

窓口の一覧は記事の末尾に置いています。

よくある誤解

説明の途中で触れた点もありますが、まとめて4つ挙げます。

AIに相談すれば解決する

AIが出せるのは、選択肢と情報です。

それで片づくのは、選択肢を知らなかった場合にかぎります。

選択肢はもう見えていて、どちらも捨てがたい。

この場合は、情報をいくら足しても決まりません。

大事にしたいものどうしがぶつかっているためです。

そして、困っている状況そのものがなくなることだけが終わりではありません。

変えられないと分かってそのままにする。

いまは決めないと決める。

何に困っていたかが分かる。

どれも、悩みが片づいた形です。

選択肢が思いつかないのは、考える力の問題

足りないのは情報の量です。

4つ目の選択肢を知らないから、4つ目を選べません。

知らないものは、どれだけ考えても出てきません。

そして人に相談しても、足りない情報が埋まるとはかぎりません。

一人の人間が持っている経験には上限があるためです。

AIに話を聞いてもらえる

やりとりしている最中は、聞いてもらったように感じることがあります。

受け取ったように読める文章が返ってくるためです。

ただし、そのあとで同じことをもう一度、人に話したくなります。

話したことが自分の中だけで終わっているためです。

AIに向くのは、話を聞いてもらうことではなく、何に困っているかを言葉にすることです。

人に相談できない人がAIを使う

人に相談する予定がある場合でも、AIは使えます。

誰に何をどこまで話すかを決めるところで使えるためです。

人に相談できるかどうかとは、別のことです。

まとめ

悩みとは、自分が決めなければ先に進まない困りごとが、片づかないまま残っている状態です。

別のことをしていても、また同じことを考えてしまう。

そういう状態のことです。

人に相談するとき、相手がいるために4つのことが起こります。

そのうちAIに書いても起こるのは、上の2つです。

相手がいるとAIに書いた場合
伝えるために言葉を選ぶことになる起こる
知らなかった選択肢が増える起こる
相手が知っている人になる起こらない
話したことが自分の中だけで終わらなくなる起こらない

AIを使う理由の中心は、自分が持っていない選択肢や情報が出てくることにあります。

ただしそれは一般的な話であって、その人の事情ではありません。

AIは、人に相談することの代わりにはなりません。

人に話す前の段階で、何に困っているかが分かるところまでを進められます。

一人で抱えきれないときは

AIは、自分の中にはなかった材料を出してきますが、人の代わりにはなれません。

話を聞いてもらいたいとき、相談先を探したいときのために、専門の相談窓口があります。

匿名で相談できる窓口もあります。

相談窓口一覧に、電話・SNS・チャットの窓口と、10代・20代向けの窓口をまとめています。

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