
はじめに

ChatGPTなどのAIを、調べものや文章づくりでは使ったことがあっても、悩みごとを相談する相手としては使っていない、という方もいるかもしれません。
先に結論を書きます。
AIは、頭の中にあるものを言葉にしたり、考えられる選択肢を並べたりする作業では役に立つ場面があります。
一方で、何が正しいかを決める場面や、急を要する場面には向きません。この線引きを知っていれば、使うかどうかはご自分で判断できます。
当サイトが扱うのは「AIとの対話の方法と、その限界」だけです。
悩みの分野そのものの制度や法律の解説はしません。
そうした情報が必要な場面では、公的機関の情報源をご案内します。
AIは、考えを整理する作業を手伝う道具です。
状況を診断したり、何が正しいかを決めたりすることはできません。
判断が必要な場面では、専門の窓口や信頼できる人の力を借りてください。
この記事の使い方
この記事は、最初から順に読む必要はありません。
知りたいところだけを読んでも用が足りるように書いています。
AIを悩みごとに使ってよいのか迷っている段階であれば、次の「AIに悩みを相談するとはどういうことか」から読んでください。
使うと決めていて手順を知りたい場合は、後半の「相談を始めるまでの3つのステップ」まで飛ばしていただいて構いません。
なお、この記事で述べるのは一般的な傾向です。
AIの具体的な挙動はサービスやモデルによって差があり、更新によっても変わります。
当サイトで実際に試した記録は、個別の記事に分けて掲載します。
AIを使うかどうかとは別に、人に相談したい場合の窓口があります。
電話・SNS・チャットで受け付けている窓口の一覧をまとめました。
AIの使い方を読む前に、そちらをご覧いただいても構いません。
AIに悩みを相談するとはどういうことか
人に相談するときと、AIに相談するときでは、起きていることが違います。
ここを取り違えると、期待と結果がずれます。
AIとのやりとりで起きているのは、入力された文章に続く文章が生成される、という処理です。
相手が事情を理解したうえで答えているわけではありません。
悩みごとにAIを使うとき、最初に押さえておきたいのはこの点です。
そのうえで、AIにできることはあります。
- 頭の中にあるものを文章の形にする。
- 書いた内容を読んで、論点を並べ直す。
- 自分では思いつかなかった選択肢を挙げる。
いずれも「材料を整える」性質の作業で、AIが比較的うまく扱える範囲です。
逆に、AIが扱えないのは「決める」ことです。
何が正しいか、どうすべきか、急を要する状況かどうか。これらをAIに委ねないでください。
返ってきた文章がもっともらしく読めても、それは判断ではなく、生成された文章です。
もうひとつ、人との違いとして押さえておきたいことがあります。
AIとのやりとりは、相手の時間や都合を気にせずに済む一方で、こちらの状況を覚えていて気にかけてくれる相手ではありません。
話す相手を探す過程でAIを使う方法はありますが、探すこと自体をやめる理由にはなりません。
なお、以上は特定のサービスを勧める立場から書いたものではありません。
当サイトは広告・アフィリエイトを一切掲載しておらず、読者を特定のAIサービスへ誘導する動機を持ちません。
詳しくは当サイトの運営方針に記載しています。
先に知っておきたい3つのこと
AIを悩みごとに使うかどうかは、次の3点を押さえれば判断できます。
それぞれ詳しく扱うと長くなるため、ここでは考え方の枠組みだけを示します。
AIに「相談できる悩み」と「相談できない悩み」

悩みの内容そのものよりも、AIに何をしてもらうかで向き不向きが決まります。
同じ悩みでも、頼み方によって使える場面と使えない場面に分かれます。
向いているのは、整理・言語化・列挙・練習の4つです。
頭の中で混ざっているものを分けて書き出す。
うまく言えないものに名前をつける。選べる道を並べてみる。
人に伝える前に言い方を試してみる。
いずれも判断そのものではなく、判断の手前にある作業です。
向いていないのは、AIに答えを出させる使い方です。
自分の状態がどうなのかを判定させる。法的にどうなるかの見通しを出させる。
急いで動くべきかどうかを決めさせる。
こうした頼み方をしても返答は返ってきますが、返ってくるぶん、かえって危うい使い方になります。
当サイトでは「どこまでが軽い悩みか」という線引きをしていません。
深刻さの度合いで区切ると、読む側に自己判定を求めることになるためです。
そうではなく、AIに何を頼むかで分けてください。
AIに入力しないほうがよい情報

AIサービスに入力した内容は、自分の手元だけに残るものではありません。
何を書かないかを先に決めておくと、迷わずに使えます。
書かないほうがよいのは、自分や周りの人を特定できる情報です。
実名、勤務先や学校の名前、住所、口座や契約の番号。
診断を受けている病名もここに含めます。
家族や同僚など、第三者に関する情報も同じ扱いにしてください。
これらは省くのではなく、置き換えます。「30代・会社員」「上司A」「別部署のBさん」のように書けば、相談の役には十分立ちます。
AIはその会社や学校のことを知っているわけではないため、固有名詞を書いても回答が具体的になるとは限りません。
入力した内容がAIの学習に使われるかどうかは、サービスごとに設定が用意されている場合があります。
設定の場所と項目名はサービスの更新で変わるため、当サイトでは具体的な手順を書きません。
各サービスの公式ヘルプでご確認ください 。
くわしくはAIに悩みを相談するとき、入力しないほうがよい情報にまとめています。
AIの回答をどこまで信じてよいか

AIの回答は、確からしく読める文章として返ってきます。
読みやすさと正しさは別のものなので、分けて受け取る必要があります。
考えの整理や、選択肢の並べ方については、そのまま材料として使って構いません。
合わないと感じたら採用しなければよいだけで、確認の手間もかかりません。
一方、事実として書かれている部分は、必ず出どころを確かめてください。
制度の要件、法律の条文、手続きの期限、医療に関する記述。この種の内容は、実際には存在しない制度や、古くなった条件がそのまま出てくることがあります。
法令であればe-Gov法令検索で条文を確認できます。
制度であれば、所管する官庁のサイトが一次情報にあたります。
どのくらいの割合で誤りが混ざるか、という数字は当サイトでは示しません。
サービスやモデルによって差があり、更新のたびに変わるためです。
数字を覚えるよりも、事実の部分は確認するという手順を習慣にするほうが確実です。
相談を始めるまでの3つのステップ

実際に使ってみるときの流れです。
細かい文面よりも、順序を押さえるほうが結果に影響します。
1つ目は、置き換える情報を決めることです。
書き始める前に、実名や勤務先をどう置き換えるかを決めておきます。
書きながら考えると、そのまま入力してしまうことがあります。
「30代・会社員」「上司A」のように、あらかじめ対応を決めておくと迷いません。
2つ目は、してほしいことを先に書くことです。
状況だけを書いて送ると、整理してほしかったのに助言が返ってくることがあります。
「整理してください」「選択肢を挙げてください」のように、してほしいことを最初に置きます。
あわせて「解決策は提案しないでください」のように、してほしくないことも書いておくと、ずれが減ります。
3つ目は、返ってきた内容を確認することです。
考えの整理はそのまま受け取って構いませんが、事実として書かれている部分は出どころを確かめます。
ここまでを一度やってみると、この使い方が自分に合うかどうかが見えてきます。
AIに向かない場面と相談先

ここまでは使える範囲の話でした。
ここでは、AIではなく人に頼むほうがよい場面を挙げます。
判断が必要な場面には向きません。
制度を使えるかどうか、契約がどうなるか、体調をどう扱うか。
こうしたことは、資格を持つ人や担当する機関が扱う領域です。
AIから返ってきた内容をもとに動く前に、その機関で確かめてください。
当サイトは制度や法律の解説をしないため、必要な場面では所管する官庁の情報をご案内します。
急を要する場面にも向きません。
安全が確保できていないとき、その場で誰かの助けが要るときは、AIを開くより先に人に連絡してください。
文章を書いて送り、返答を読む時間が挟まること自体が、この場面では不利に働きます。
相談先を探す段階でAIを使うのは構いません。
何を相談したいのかを先に言葉にしておくと、窓口で話すときに楽になります。
ただし、どの窓口に行くべきかをAIに決めさせないでください。
窓口の情報は変わることがあり、古い内容が返ってくることがあります。
窓口には、電話で受け付けているもの、SNSやチャットで受け付けているもの、10代・20代を対象にしたものがあります。
話すのが苦手だからテキストを選ぶ、という選び方をして構いません。記事の最後にまとめてあります。
まとめ

AIは、考えを整理したり、選択肢を並べたりする作業では役に立つ場面があります。
一方で、何が正しいかを決めることや、急を要する場面には向きません。
使う前に決めておきたいのは、何を入力しないかと、返ってきた内容のどこを確認するかの2点です。
この2つを決めておけば、あとは一度試してみて、自分に合うかどうかをご自分で判断できます。
一人で抱えきれないときは
AIは考えを整理する助けにはなりますが、人の代わりにはなれません。
話を聞いてもらいたいとき、相談先を探したいときのために、専門の相談窓口があります。
匿名で相談できる窓口もあります。
相談窓口一覧に、電話・SNS・チャットの窓口と、10代・20代向けの窓口をまとめています。
学校の先生、家族、部活やバイト先の大人など、話しやすいと感じる人に伝えるのも、選べる方法のひとつです。
急を要すると感じたときは、救急・警察に連絡してください。
迷ったときに連絡してかまいません。
判断は受け手がします。
当サイトの記載事項については免責事項をご確認ください。
はじめてのAI悩み相談