悩みごとをAIに書こうとして、どこまで書いてよいか迷って手が止まった、という方もいるかもしれません。
名前や職場を書かないと伝わらない気がする一方で、そのまま書くのはためらわれる、という場面です。
この記事では、悩みの相談でAIに入力しないほうがよい情報と、その置き換え方を扱います。
設定画面の操作手順は扱いません。画面の構成はサービスの更新で変わるため、当サイトでは手順を書かない方針です。
扱うのは、個人のアカウントで使う一般向けのChatGPT・Claude・Geminiです。
会社や学校のアカウント、API、組織契約では、データの扱いが異なります。
当サイトはそちらを確認していません。
先に結論を書きます。
実名や勤務先を置き換えても、相談の役には十分立ちます。
そして、設定で管理できる範囲には限りがあるため、入力する前に選ぶほうが確実です。
AIは、頭の中の考えを言葉にしたり、選択肢を並べたりする作業を手伝ってくれます。
一方で、あなたの状況を診断したり、何が正しいかを決めたりすることはできません。
AIとの相談全体の考え方は、はじめてAIに悩み相談をする前に知っておきたいことにまとめています。
結論から
この記事の要点を先に並べます。ここだけ読んでも用は足ります。
- 実名、勤務先や学校名、住所、連絡先、口座やカードの番号は入力しない
- 家族や同僚など、ほかの人を特定できる情報も同じように扱う
- 「30代・会社員」「上司A」のように置き換えれば、考えを整理する役には立つ
- 設定で管理できる範囲には限りがある。入力する前に選ぶほうが確実である
以下では、それぞれの理由を順に書いていきます。
悩みの相談では、入力する情報の性質が変わる
文章を要約してもらうときと、悩みを相談するときとでは、入力する内容の性質が違います。
この違いが、この記事のいちばんの前提になります。
悩みの相談では、自分の置かれている状況を具体的に書くことになります。
日付、場所、関係、経緯といった細かい事情が、そのまま入力欄に入っていきます。
もっとも、入力する内容に注意が要るのは悩みの相談だけではありません。
要約や翻訳、文章の作成でも、社内の資料や未公表の文書、応募書類などを入力する場面があります。
用途にかかわらず、入力する前に内容を見る習慣は役に立ちます。
そのうえで、悩みの相談には固有の事情があります。
そしてもう一点、見落とされやすいことがあります。
相手がいて生じている悩みでは、書く内容の多くが自分以外の人の話になります。
上司とのやりとり、家族の言動、友人との経緯。悩みの中身を説明しようとすると、その人の情報を書かないと話が通じません。
自分の情報をどこまで出すかは、自分で決められます。
しかし、ほかの人の情報については事情が異なります。
その人は、自分のことがAIに入力されると知りませんし、同意もしていません。
この点については、サービスを提供している会社自身が、同じ趣旨のことを書いています。
ChatGPTとGeminiは、人に確認されたりサービスの改良に使われたりすることを望まない機密情報は入力しないように、と書いています。
いずれも、内容を人が確認する場合がある、という説明のすぐあとに置かれた記述です(消費者向けサービスのデータ使用に関するFAQ(ChatGPT)/Geminiアプリのプライバシー ハブ)。
Claudeは、機微性の高い個人情報を共有するときは慎重に検討するように、という推奨の形で書いています(機微なデータの入力について(Claudeヘルプ・英語))。
表現の強さには差がありますが、入力する内容を選ぶよう促している点は3サービスに共通しています。
(2026年7月31日時点のそれぞれの公式ページでの情報です)
入力しないほうがよい情報と、その置き換え方
具体的に見ていきます。
3つに分けて、それぞれの置き換え方を添えました。
自分を特定できる情報
実名、勤務先や学校の名前、住所、電話番号、メールアドレス、SNSのIDなどが該当します。
所属先の部署名や、めずらしい職種名も、組み合わせると個人が絞り込めることがあります。
置き換えの例は「30代・会社員」「都内在住」「入社4年目」といった形です。
年齢は幅で、勤務先は業種や規模で書けば、相談を進めるのに困ることはほとんどありません。
ほかの人を特定できる情報
家族、同僚、友人の名前と、その人の勤務先や学校名です。
関係が特定できるほど細かい経緯も同じ扱いにします。
置き換えの例は「上司A」「同居している家族」「同じ部署の同僚B」です。
登場人物が複数いるときは、AとBのように記号で区別すると、あとから読み返しても混乱しません。
前の見出しで書いたとおり、この分類がいちばん見落とされやすい部分です。
自分のことは伏せたのに、相手のことは実名で書いていた、ということが起こります。
ひとつ補足があります。
置き換えは、特定される可能性を下げる方法であって、匿名になるわけではありません。
めずらしい職種、地域、家族構成、時期、具体的な出来事が重なれば、置き換えたままでも本人や関係者を推測できることがあります。
置き換えたから何を書いてもよい、とはならないと考えてください。
置き換えでは済まない情報
口座番号、クレジットカードの番号、各種のパスワード、マイナンバー、勤務先の非公開の情報が該当します。
この分類には置き換えの方法を書きません。入力しないことだけが答えです。
悩みを整理する目的で、これらの情報が必要になる場面はありません。
お金に関する悩みであっても、金額の規模を書けば足ります。
診断名や通院先は、これらとは性質が異なります。
取り返しがつかない情報ではありませんが、機微性の高い健康情報にあたります。
一般向けのチャットに書く場合は、「通院している」「体調を崩している」のように、話を進めるのに必要な範囲まで一般化してください。
体調や治療についての判断は、AIではなく医療機関で相談してください。
設定で管理できる範囲には限りがある
ChatGPT・Claude・Geminiの3サービスは、いずれも入力内容の扱いを管理する設定を持っています。
ただし、この設定に期待できる範囲には限りがあります。
設定の名称と置かれている場所は、サービスごとに異なります。当サイトでは操作手順を書きません。
画面の構成は更新で変わり、書いた時点から古くなっていくためです。
お使いのサービスの公式ヘルプで確認してください。
3サービスとも、設定をオフにしても例外が定められています。
いずれも、回答に対してフィードバックを送信した場合が挙げられています。
オフにしたつもりでも、送信の操作をした分については扱いが変わります。
もう一点、より大きな限界があります。
設定をオフにする前に入力した分の扱いは、サービスによって書かれ方が違います。
Claudeのヘルプは、設定をオフにすると過去・新規のいずれのチャットも今後の学習には使わない、と明記しています。
そのうえで、すでに進行中の学習と、すでに学習を終えたモデルには、データが引き続き含まれると書いています。
ChatGPTは、オプトアウトすると「新しい」対話は学習に使用されなくなる、と範囲を限定した書き方をしています。
Geminiでは、この論点についての記述を見つけられませんでした(2026年7月31日確認/データの保持期間について(Claudeヘルプ・英語)/モデルの改善へのデータの使われ方(ChatGPTヘルプ)/Geminiアプリのプライバシー ハブ)。
書かれ方は3通りですが、共通していることがあります。
3サービスのいずれも、いったん学習に使われた分を取り消せるとは書いていません。
つまり、設定は入力しないことの代わりにはなりません。
設定は、これから先の扱いを変えるものです。
すでに入力した分をなかったことにはできません。
だからこそ、入力する前に選ぶほうが確実です。
よくある誤解
この話題でよく見かける受け取り方を3つ挙げます。
【誤解1】学習に使われない設定にすれば、何を書いてもよい
設定が管理する範囲と、入力する内容を選ぶ判断は別のものです。
前の見出しのとおり、管理できる範囲を確定できない部分が残ります。
【誤解2】置き換えると、相談の役に立たなくなる
置き換えても、考えを整理する役には立ちます。
「上司Aとの面談で言われたことに納得がいかない」という書き方でも、何が引っかかっているのかを言葉にする作業は進みます。
なお当サイトでは、実名や所属を書かなければ成立しない相談は、AIではなく、守秘義務のある相談先に持ち込むことをおすすめしています。
これは当サイトの方針であり、AIの性能についての判断ではありません。
【誤解3】AIに整理してもらえば、人に相談しなくて済む
整理は相談の前段であって、相談の代わりではありません。
整理した結果、人に話したほうがよいと分かることもあります。
AIとのやりとりで完結させようとすると、必要な場面で相談先を探すのが遅れます。
AIに入れないと決めたことを、どこで話すか
入力しないと決めた内容が、なくなるわけではありません。
話す先を変える、という判断をしたということです。
名前を出さないと説明できない事情や、数字を伏せると意味が変わってしまう話は、AIに書きにくい部分でもあります。
置き換えを重ねるほど、相談したかった中身から遠ざかることもあります。
そうした内容を話せる先として、専門の相談窓口があります。
匿名で相談できる窓口や、電話ではなくテキストで相談できる窓口もあります。
電話・SNS・チャットで受け付けている窓口の一覧にまとめました。
AIで整理してから話す、という順番もあります。
整理した内容を持っていくと、話しやすくなることがあります。
まとめ
悩みの相談では、書く内容の多くが自分以外の人の話になります。
自分の情報だけでなく、ほかの人を特定できる情報も置き換えてください。
置き換えても、考えを整理する役には十分立ちます。
実名や勤務先は、整理を進めるうえで必要な情報ではありません。
設定で管理できるのは、これから先の扱いです。
3サービスのいずれも、いったん学習に使われた分を取り消せるとは書いていません。
だからこそ、入力する前に選ぶことが最も確実な方法です。
一人で抱えきれないときは
AIは考えを整理する助けにはなりますが、人の代わりにはなれません。
話を聞いてもらいたいとき、相談先を探したいときのために、専門の相談窓口があります。
匿名で相談できる窓口もあります。
相談窓口一覧に、電話・SNS・チャットの窓口と、10代・20代向けの窓口をまとめています。
急を要すると感じたときは、救急・警察に連絡してください。迷ったときに連絡してかまいません。
判断は受け手がします。
当サイトの記載事項については免責事項をご確認ください。
はじめてのAI悩み相談